「デザインの骨格」読みました。

私にとって人生で初めてのブログとなります。

近頃、勉強(趣味)のために本を読むことが多いのですが、読んだことをいちいち忘れてしまいます。そこで、ブログに書いてアウトプットすれば記憶がもっと定着するのではないかな、と思って始めました。

 

まあ、ブログの空気感をまだ理解できていないうえ、素人のブログを読む方はいるのかいないのか…という程度だと思うので、書きたいように書いていこうかなと思っています。

 

さっそくですが、今回読んだ本はプロダクトデザイナーである山中俊治さんの「デザインの骨格」です。

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本を読んで伝わってくる山中さんの人間としての精密さには驚きました。「仕事に隙がない」というとプロとしては当然と言われるかもしれませんが、この方は広範囲にスキルが広がっており、その隅々まで完璧に整備されているように感じます。

 

特に、山中さんのスケッチには驚かされました。

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美しいです。

哲学者のカントは「手は外部に表れた脳である」と言ったそうですが、この手の動きの痕跡を見ると、山中さんの手の脳がいかに研ぎ澄まされているかが分かります。イメージした形を適切にアウトプットしていて、まさにプロダクトデザイナーといった感じですね。

 

さらにスケッチに関して「形を描こうとしてはいけない、構造を描くことによって自然に形が生まれる。」と書いておられますが、その話はスケッチだけではなく動物や人間の骨にまで当てはまるようです。

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これも本の中に登場するダチョウの写真ですが、美しいですね。この骨格によってダチョウの生命を支えていると考えると、「機能美」という言葉にも頷けますし、人間は必死になって自然界の造形を盗むべきだと思いました。本文にて「人を寄せ付けない美しさ」とダチョウの骨に関して書いておられますが、義足までデザインされている方だからこそ、骨に関する完璧な機能美を賞賛しているのだと思います。

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そしてこれが、骨展(山中俊治ディレクション)において写真家ニック・ヴィーシーの写真だそうです。見ての通りドライヤーですが「構造を描くことによって自然と形が生まれる」ということが実感として伝わってくる写真です。本の中では他にもMacBookから歯車ひとつに至るまで、それぞれの機能と形について語られていますが、どれも作り手が0.01ミリ単位で仕事をしているということが分かります。世の中の物作りはこの0.01ミリによって支えられていると思うと震えました。

 

そして、そんな山中さんが「20世紀最高のデザインはなんですか」という質問の答えにはボーイング747と答えたそうです。

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ボーイング777などと比較しても747の方がよいと書かれています。(私は飛行機に関して詳しく知りませんが)確かに比較するとこの飛行機は形が整っていると思います。

 

ちなみにボーイング777はこちら↓

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747と777とを比較して、技術者は 「どちらも合理的な計算の結果である」と言ったそうです。しかし山中さんが食い下がって質問をしたところ、747は主に設計リーダーのジョー・サッターが決めた、ということだそうです。つまり、意匠設計と技術設計の両立を隅々まで行えるリーダーがいてこそ、完璧な機能美に近づけるということなのでしょう。そのジョー・サッターがいかに偉大なリーダーであったかが伺えます。

 

この本を読んで、目に入ってくる日用品の「機能美」について考える機会が増えました。すると醜いものも目に映ります。それらの構造について学び、場合によっては自分の手で解体していくことで、デザインという分野をより深く学べるような気がします。

 

私は山中俊治さんに直接お会いしたことはありませんが、きっとボーイング747のような方なのではないか…と思いました(的外れだったらすいません)。